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多様な顔を持つ板橋区でのテナント探し:エリア別商圏分析と出店戦略

東京都の北西部に位置し、都心へのアクセスの良さと、多様な顔を持つ住宅街が魅力の板橋区。23区内でも有数の人口を抱え、活気あふれる商店街から大規模な団地、住工混在地域まで、エリアごとに異なる特色を持っています。テナント出店を成功させるためには、こうした地域ごとの特性、すなわち「商圏」を深く理解することが不可欠です。

しかし、板橋区の商圏構造は、単一の市場として捉えることはできません。交通の要衝である「板橋駅前」、活気ある商店街が魅力の「大山」、東武東上線沿線の住宅地「中板橋・ときわ台」「上板橋」、大規模団地を抱える「高島平」、そして住工混在の「志村」。これらのエリアは、それぞれが異なる機能と特性を持ち、集まる人々の属性や消費行動も多様です。

本稿では、板橋区内の主要6エリアの商圏調査データに基づき、各エリアの特徴と、テナント探し・出店戦略のヒントを詳しく解説します。データに基づいたエリア選定で、あなたのビジネスに最適な場所を見つけましょう。

■10秒でわかる!この記事の内容
・板橋駅周辺:交通の結節点。単身者、特に若年層が多く、通勤・通学客と地域住民のニーズが交差するエリア。
・大山駅周辺:活気ある商店街が中心。地域住民の生活に密着し、多様な世帯が暮らす商圏。
・中板橋・ときわ台:東武東上線沿線の住宅地。若年単身者が多く居住するベッドタウン型商圏。
・上板橋駅周辺:東武東上線沿線の住宅地。20代〜30代の単身者が特に多いベッドタウン型商圏。
・高島平駅周辺:大規模団地を抱える。高齢者人口比率が非常に高い、地域密着型商圏。
・志村エリア:住工混在エリア。ファミリー層が多く、昼間人口も比較的多い多様なニーズを持つ商圏。

■【板橋駅駅周辺】交通の要衝と単身者の活気

JR埼京線と都営三田線(新板橋駅)が利用可能な板橋駅周辺は、区内随一の交通利便性を誇ります。駅周辺には商業施設や飲食店が集まり、常に多くの人々が行き交う活気あるエリアです。

商圏データを見ると、人口総数は24,819人で、特に20代(7.3%)から40代後半(8.2%)の人口比率が高い傾向にあります。単身世帯が60.1%と非常に多く、特に20代単身(15.2%)の割合は都平均(10.4%)を上回ります。外国人人口比率も6.5%と都平均(3.4%)より高い水準です。住居は民営借家が50.4%と最も多く、11階建て以上の共同住宅も合計33.2%と高い比率を占めます。平均世帯年収は約495万円で、都平均(549万円)に近い水準です。交通手段は鉄道・電車の利用が72.6%と圧倒的に高く、駅への依存度が高いことがうかがえます。

このエリアでの出店は高い交通利便性と多い単身者層を背景に、スピード感利便性を重視した業態が有望です。駅周辺では、カフェ、ファストフード、コンビニエンスストア、テイクアウト専門店などの需要が見込めます。夜間は、単身者や仕事帰りの人々をターゲットとした居酒屋バルラーメン店定食屋なども考えられます。また、周辺住民向けのクリニック、クリーニング、小規模スーパーといった生活密着型サービスも需要があるでしょう。多様な人々が行き交うため、ターゲットを明確にしたコンセプトが重要になります。

■【大山駅周辺】活気ある商店街と地域密着の暮らし

東武東上線大山駅を中心とするこのエリアは、有名なアーケード商店街「ハッピーロード大山」を核とし、常に多くの買い物客で賑わっています。新旧の店舗が混在し、地域住民の生活を支える商業の中心地として活気があります。

人口総数は24,921人で、板橋駅エリア同様、20代から40代の人口が多いですが、高齢者人口比率(22.1%)も比較的高いです。単身世帯比率は61.1%と高いものの、高齢単身世帯(11.6%)の割合も都平均(11.2%)並みに存在します。住居は民営借家が55.2%と過半数を占めますが、一戸建ても18.3%存在します。平均世帯年収は約471万円で、都平均よりやや低い傾向です。昼夜間人口差は-4,161人で夜間人口が多いですが、小売業(15.4%)や飲食サービス業(6.7%)の就業者比率が高く、商業活動の活発さがうかがえます。

このエリアでは地域住民の日常的な消費ニーズに応えることが基本戦略となります。商店街の集客力を活かし、食料品、日用品、衣料品などの物販店や、惣菜店ベーカリーなどが考えられます。飲食店では、買い物客や地元住民が気軽に立ち寄れるカフェ定食屋ラーメン店居酒屋などが有望です。幅広い年齢層が居住しているため、クリニック調剤薬局理美容室といった生活サービス業の需要も安定しています。商店街への出店は魅力的ですが、家賃相場や既存店との競合を十分に調査することが重要です。

■【中板橋・ときわ台】若年単身層が多い閑静な住宅街

東武東上線沿線に位置し、都心へのアクセスが良いことからベッドタウンとして発展してきました。駅周辺には小規模な商店街がありますが、全体的には落ち着いた雰囲気の住宅地が広がっています。

商圏データを見ると、人口総数は21,202人で、20代(7.3%)から30代(7.5%)の若年層の比率が高いです。単身世帯が61.2%と非常に高く、特に20代単身(14.7%)の割合は都平均(10.4%)を大きく上回ります。高齢単身世帯も12.0%存在します。住居は民営借家が54.6%と最も多く、共同住宅が76.3%を占めます。平均世帯年収は約467万円と都平均より低い水準です。昼夜間人口差は-7,154人と大きく、典型的なベッドタウンです。通勤・通学は鉄道・電車(60.7%)と自転車(18.3%)の利用が多いです。

出店戦略としては、ターゲットは地域住民、特に若年層の単身者となります。彼らの日常生活を支える利便性の高い業態が求められます。駅周辺のコンビニエンスストア小規模スーパードラッグストアは不可欠でしょう。飲食店では、手頃な価格帯のカフェラーメン店ファストフード弁当・惣菜店テイクアウト専門店が有望です。単身者向けサービスとしてコインランドリークリーニング店も安定した需要が見込めます。比較的落ち着いたエリアであるため、地域に溶け込むような店舗づくりが重要です。

■【上板橋駅周辺】都心へ通勤する単身者が集う街

中板橋・ときわ台エリアと同様に、東武東上線沿線のベッドタウンとして機能しています。駅周辺には商店街があり、生活利便施設が集まっています。

商圏データでは、このエリアの人口総数は19,699人。20代(7.1%)から40代後半(7.9%)までの層が厚いです。単身世帯比率は58.5%で、20代単身が13.5%と都平均(10.4%)より高いです。高齢単身世帯も12.3%存在します。民営借家が54.0%と半数以上を占め、共同住宅が77.2%です。平均世帯年収は約475万円で、都平均よりやや低い水準です。昼夜間人口差は-5,976人で、夜間人口が多いベッドタウンです。通勤・通学での鉄道・電車利用率は60.9%です。

出店戦略のヒントとして、中板橋・ときわ台エリアと同様に、単身者を含む地域住民の日常生活をターゲットとした戦略が有効です。駅周辺には、コンビニエンスストアドラッグストア飲食店(カフェ、ラーメン、定食屋、居酒屋など)、テイクアウト専門店の需要があります。比較的若い層が多いことから、トレンドを取り入れた小規模な飲食店やサービス店にも可能性があるかもしれません。地域住民向けのクリニック学習塾なども考えられます。

■【高島平駅周辺】高齢化が進む大規模団地コミュニティ

都営三田線の高島平駅新高島平駅西高島平駅周辺に広がる、日本有数の大規模団地エリアです。公園が多く緑豊かな環境ですが、建物の老朽化や住民の高齢化が課題となっています。

この地域では高齢者人口比率が32.5%と極めて高く、都平均(22.8%)を大幅に上回ります。特に70代以上の人口が多く、後期高齢者(75歳以上)の割合は18.2%に達します。単身世帯比率は51.5%ですが、そのうち高齢単身世帯が15.9%と高い割合を占めます。公営・公団・公社の借家が15.1%と多いのが団地エリアの特徴です。平均世帯年収は約472万円と、都平均を下回ります。将来人口予測では、高齢化が一層進行すると見込まれています。

出店戦略では高齢者層を主要ターゲットとした業態が中心となります。医療・福祉関連サービスの需要は非常に高く、クリニック(内科、整形外科、眼科、歯科など)、調剤薬局デイサービス訪問介護ステーション福祉用具レンタルなどが考えられます。物販では、小規模スーパードラッグストアに加え、高齢者向けの衣料品、補聴器、健康食品などを扱う店舗も有望です。飲食店では、地域住民が集う喫茶店定食屋、あるいは配食サービス事業者などが求められるでしょう。地域包括支援センターなどとの連携も視野に入れたいエリアです。

■【志村エリア】住工混在とファミリー層の安定した需要

都営三田線の志村坂上駅志村三丁目駅周辺と、その西側に広がるエリアです。中山道沿いには事業所や店舗が並び、内陸部には住宅地に加えて工場なども点在する、住工混在の街並みが特徴です。

商圏データを見ると、30代後半から40代の人口比率が高く、ファミリー層の居住がうかがえます。単身世帯比率は49.9%と、これまで分析したエリアの中では最も低く、2人以上の世帯が半数を占めます。持ち家比率も48.8%と比較的高く、地域への定住傾向が見られます。平均世帯年収は約492万円で、都平均に近い水準です。昼夜間人口差を見ると、昼間人口が2,787人多いことから、周辺の事業所への通勤者が多いことが分かります。産業別では製造業(12.2%)の就業者比率が高いのが特徴です。

この地域の出店として地域住民(特にファミリー層)と昼間の就業者の両方を視野に入れた戦略が有効です。中山道など幹線道路沿いでは、自動車ディーラー、整備工場、ロードサイド型飲食店(ファミリーレストラン、回転寿司、焼肉店など)が考えられます。住宅地では、スーパーマーケットドラッグストアクリニックなどの生活基盤となる店舗が中心です。ファミリー層が多いことから、学習塾、子供向け習い事教室、小児科などの需要も高いでしょう。昼間の就業者向けには、ランチを提供する飲食店や弁当・惣菜店も有望です。工業地域が近いことを考慮し、作業服専門店や工具店などもニッチな需要があるかもしれません。

■この記事のまとめ

板橋区は、エリアごとに異なる人口構成、ライフスタイル、そして商業のポテンシャルを持っています。駅前の利便性を求める単身者、商店街で日々の買い物をする地域住民、団地で暮らす高齢者、工場で働く人々など、多様な人々がそれぞれの街で生活を営んでいます。

テナント出店を成功させるには、こうした各エリアの「顔」をデータから読み解き、自社の強みコンセプトが最も活かせる場所を見極めることが何よりも重要です。商圏調査データは、そのための客観的な判断材料を提供してくれます。データ分析と現地調査を重ね、自社のビジネスがどの街の物語に最も貢献できるのかを構想すること。それが、この魅力あふれる板橋区で確かな成果を上げるための、最も重要な戦略となるはずです。

店舗ネットワークでは、店舗探しから出店準備内装集客販促までをトータルでサポートしています。板橋区で出店・開業を検討される際は、お近くの店舗ネットワーク加盟店に是非ご相談ください。

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