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伝統と未来が共鳴する街、墨田区―主要6エリアの商圏データ徹底解剖で導く出店

東京の東部に位置し、江戸以来の歴史と文化を今に伝える墨田区。隅田川の流れと共に育まれた下町情緒と、日本の「モノづくり」を支えてきた町工場の活気、そして東京スカイツリー®という新たなシンボルの誕生。この街は、伝統と革新がダイナミックに交差し、多様な人々が暮らし、働き、集う、計り知れないポテンシャルを秘めたエリアです。

テナント出店を成功させるためには、この多様性を深く理解することが不可欠です。区内随一の繁華街である錦糸町、世界的な観光地となった押上、そして地域住民の暮らしが息づく住宅街。それぞれのエリアが持つ独自の人口構成やライフスタイル、消費動向をデータに基づいて見極めることで、自社のビジネスに最適な場所が見えてきます。本稿では、墨田区の主要6エリアの商圏データを徹底的に分析し、それぞれの街が持つビジネスチャンスと、成功への道筋を探ります。

■10秒でわかる!この記事の内容
・錦糸町エリア:圧倒的な集客力を誇る、区内最大の商業・エンターテイメント拠点。若者・単身者需要が旺盛。
・押上エリア:東京スカイツリー®を核とする国際的観光地と、ファミリー層が暮らす住宅地が融合した複合商圏。
・両国エリア:「相撲の街」としての文化資本と、ビジネス・居住機能が共存するユニークなエリア。
・曳舟エリア:再開発により利便性が向上。地域住民、特に高齢者層の日常消費を支える安定市場。
・向島エリア:戸建住宅が多く、昔ながらのコミュニティが根付く成熟したベッドタウン。
・本所エリア:モノづくりの伝統と職住近接のライフスタイルが特徴。昼間就業者と単身居住者がターゲット。

■【区を代表する二大商業・観光拠点】錦糸町、押上エリア

墨田区の商業活動を牽引するのが、錦糸町押上です。この二つのエリアは、広域からの集客力という共通点を持ちながらも、その特性は異なります。

錦糸町:多様なニーズに応える、眠らない繁華街

JR総武線と東京メトロ半蔵門線が乗り入れる錦糸町は、立地特性として「繁華街性」が70.3%と突出しており、名実ともに墨田区最大の商業・エンターテイメントの中心地です。昼夜間人口差は+40,361人と圧倒的な流入超過を記録し、商業人口も10万人を超えるなど、その集客力の高さは群を抜いています。

人口構成を見ると、「1人世帯」が56.4%と半数以上を占め、特に「20代単身」が9.6%と高い比率であることが特徴です。産業別就業者では「宿泊業・飲食サービス業」が22.8%と最も高く、夜間の経済活動が非常に活発であることがうかがえます。

このエリアでの出店戦略は、若者からビジネスパーソン、そして夜の街を楽しむ人々まで、多様なターゲットを視野に入れる必要があります。飲食店は、ランチ需要に応える定食屋から、夜の接待にも使えるレストラン、若者向けの居酒屋やバーまで、あらゆる業態にチャンスがあります。物販では、ファッション雑貨家電量販店などの大型店舗に加え、ニッチなニーズに応える専門店も成功の可能性があります。競争は激しいですが、それを上回る巨大な市場が魅力のエリアです。

押上:「スカイツリー」を擁する観光と生活の融合エリア

東京スカイツリータウン®の開業により、世界的な観光地へと変貌を遂げた押上。立地特性は「繁華街性」が51.5%と高い一方で、「ベッドタウン性」も36.6%を占め、観光地と住宅地が融合したユニークな商圏を形成しています。昼間人口は夜間人口を15,313人上回り、観光客や商業施設への就業者が多く流入します。

住民の特性を見ると、平均世帯人員は1.9人と小規模世帯が多いものの、持ち家比率は45.4%と比較的高く、地域に根ざした生活者も多いことがわかります。1世帯あたりの平均年収も470万円と、周辺エリアに比べて高い水準にあります。

出店戦略は、観光客と地域住民の双方をターゲットとする「ハイブリッド型」が有効です。観光客向けには、土産物店キャラクターグッズショップ食べ歩きグルメ、そして展望を楽しめるカフェレストランが考えられます。一方、地域住民向けには、日常の買い物を支える質の高いスーパーマーケットや、ファミリー層が週末に楽しめる飲食店、子育て関連サービスなどが有望です。観光の「ハレ」と生活の「ケ」の両方のニーズに応えることが成功の鍵となります。

■【歴史と文化がビジネスを生む街】両国エリア

国技館を擁する「相撲の街」として知られる両国は、その文化的背景を活かした独自の商圏を持つエリアです。立地特性は「繁華街性」(41.4%)、「ビジネス街性」(32.1%)、「ベッドタウン性」(26.5%)がバランス良く分布し、観光・ビジネス・居住の3つの機能が共存しています。

昼間には多くのビジネスパーソンが流入し(昼夜間人口差+12,416人)、夜間は5万人を超える人々が暮らしています。外国人人口比率が5.0%と高いのも特徴で、国際的な観光地としての一面も持ち合わせています。また、1人世帯比率が60.0%と非常に高く、単身者の居住エリアとしての性格も色濃く出ています。

このエリアでのテナント戦略は、複数のターゲット層を意識する必要があります。第一に、国内外の観光客をターゲットとした飲食店(特にちゃんこ鍋店)、相撲関連グッズや和雑貨の店。第二に、昼間のオフィスワーカー向けのランチ居酒屋。そして第三に、多い単身居住者のためのコンビニエンスストアや惣菜店、手頃な飲食店です。歴史と文化という強力なコンテンツを活かしつつ、多様な人々のニーズに応える店舗が求められます。

■【地域住民の暮らしを支える高密度住宅地】曳舟・向島・本所エリア

これらのエリアは、商業の中心地から少し離れ、地域住民の生活が主体となるベッドタウン型の商圏です。しかし、それぞれに異なる特徴を持っています。

曳舟:再開発で利便性向上、高齢者層が厚い安定市場

東武スカイツリーラインと亀戸線が交差する曳舟は、駅前の再開発によりタワーマンションや商業施設が整備され、利便性が向上したエリアです。立地特性は「ベッドタウン性」が44.8%と高く、地域住民の生活が中心です。特に注目すべきは高齢者人口で、65歳以上が30.6%、中でも「高齢単身世帯」が17.5%と非常に高い割合を占めています。

このエリアでは、高齢者の生活をサポートする業態に大きな可能性があります。調剤薬局やクリニック、デイサービスといったヘルスケア関連はもちろん、小分け商品を充実させたスーパーや、配食サービス家事代行サービスなどが有望です。

向島:戸建住宅が中心の、昔ながらのコミュニティ

向島は、立地特性の「ベッドタウン性」が51.2%を占める、落ち着いた住宅地です。特筆すべきは「一戸建世帯」の比率が43.1%と非常に高いことで、これは昔からこの地に住む定住者が多いことを示唆しています。人口ピラミッドを見ても、40代後半から70代にかけての層が厚く、成熟したコミュニティが形成されています。

このエリアでは、地域住民との長い付き合いを前提とした店舗づくりが求められます。住民が集う昔ながらの喫茶店や定食屋、地域の御用聞きとなれるような酒店や米屋などが考えられます。また、持ち家が多いことから、小規模なリフォームや植木の剪定といった、住まいに関するサービスの需要も期待できるでしょう。

本所:職住近接の「モノづくり」のDNAが息づく街

両国と錦糸町の中間に位置する本所は、「ベッドタウン性」(40.9%)と「ビジネス街性」(35.2%)を併せ持つエリアです。昼間人口が夜間人口を上回っており、就業地としての機能が強いことが特徴です。産業別就業者では「製造業」が11.2%を占め、墨田区の「モノづくり」の一翼を担っています。また、「1人世帯」が58.7%と非常に高い割合を占めています。

このエリアでは、昼間に働く人々夜間に居住する単身者の両方がターゲットとなります。工場やオフィスで働く人々向けの安価でボリュームのある食堂や弁当屋、そして単身者向けのコンビニエンスストアやコインランドリー、夜遅くまで営業している飲食店などが有望です。

■この記事のまとめ

墨田区は、国際的な観光・商業エリアと、地域に根ざした住宅エリアという、明確に異なる二つの市場が共存するダイナミックな区です。テナント出店の成功は、自社のビジネスが「交流人口」「定住人口」のどちらをメインターゲットとするのかを明確に定義することから始まります。本稿で示したエリアごとの詳細なデータを活用し、自社の強みが最大限に発揮できる場所を選定することで、この魅力あふれる街でのビジネスチャンスを掴むことができるでしょう。

店舗ネットワークでは、店舗探しから出店準備、内装集客販促までをトータルでサポートしています。墨田区で開業を検討される際は、地域密着の店舗ネットワーク加盟店に是非ご相談ください。

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