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「世田谷」のイメージを超えろ!主要10駅の商圏データ徹底分析で導く、テナント出店の最適解

東京都23区最大の人口約92万人を誇り、「住みたい街」ランキングの常連でもある世田谷区。その名は、緑豊かな公園、閑静な住宅街、洗練されたライフスタイルといった「上質なベッドタウン」のイメージを想起させます。しかし、その広大な面積と多様な鉄道路線が織りなす現実は、一つのイメージでは到底捉えきれません。

サブカルチャーと若者文化が躍動する「下北沢」「三軒茶屋」。日本有数の高級住宅街として知られる「成城学園前」。再開発で未来都市の様相を呈する「二子玉川」。そして、学生たちの活気に満ちた「明大前」。これらはすべて世田谷区の顔であり、それぞれが全く異なる商圏を形成しています。

テナント出店を成功させるためには、この「多様性」をデータに基づいて深く理解し、自社の事業コンセプトがどの市場に最適かをピンポイントで見極めることが不可欠です。本稿では、世田谷区の主要10駅の商圏データを徹底的に分析し、5つの異なる立地環境に分類しながら、それぞれの街が持つポテンシャルと出店戦略を探ります。

■10秒でわかる!この記事の内容
• 【若者・トレンド発信型商圏】(下北沢駅・三軒茶屋駅):高い「繁華街性」を持ち、流行に敏感な高所得の単身者が集う、カルチャーと飲食の中心地。
• 【超・高所得ファミリー商圏】(成城学園前駅・二子玉川駅・用賀駅):平均世帯年収590万円超。高い教育意識と消費意欲を持つ、国内屈指のプレミアムマーケット。
• 【学生街・若者単身者商圏】(明大前駅):1人世帯比率が65%超、20代前半の比率が突出。コストパフォーマンスが最重要視される学生街市場。
• 【地域密着・高密度ベッドタウン】(経堂駅・世田谷駅):安定した所得層とファミリー層が暮らす、地域住民の日常消費が中心の成熟した住宅地。
• 【ローカル・シニア共存型商圏】(下高井戸駅・千歳烏山駅):活気ある商店街と、高い高齢者・単身高齢者比率が特徴。生活支援・ヘルスケア需要が旺盛。

■若者・トレンド発信型商圏(下北沢駅・三軒茶屋駅エリア)

世田谷区の中でも、特に「繁華街性」が際立つのがこの2エリアです。ともに20代〜30代の若者・単身者層から絶大な支持を集めており、流行の発信地として機能しています。立地特性は、下北沢駅が「繁華街性」71.3%、三軒茶屋駅が「繁華街性」60.0% と、商業的な魅力が圧倒的です。共通する特徴は「1人世帯」の比率が極めて高いこと(下北沢59.8%、三軒茶屋62.4%)と、平均世帯年収が約500万円と高いこと(下北沢496万円、三軒茶屋502万円)です。これは「経済的に自立し、流行に敏感な単身者」という明確なターゲット像を浮かび上がらせます。

出店戦略としては、この「可処分所得が高く、感度の鋭い単身者」の心を掴むことが鍵となります。飲食店であれば、小劇場ライブハウスの多い下北沢ではテイクアウトグルメや個性的なカフェ、三軒茶屋では大人が楽しめる洗練されたバル居酒屋が有望です。物販では、古着雑貨レコードといった趣味性の高い専門店が、他エリアからの集客も見込めます。美容室エステサロンパーソナルジムといった「自分磨き」のためのサービス業も、高い需要が期待できるでしょう。

■超・高所得ファミリー商圏(成城学園前駅・二子玉川駅・用賀駅エリア)

世田谷区の「上質」なイメージを牽引するのが、この3エリアです。共通するのは、23区内でもトップクラスの所得水準と、それに伴う旺盛な消費意欲です。1世帯あたり平均年収は、成城学園前駅が673万円、二子玉川駅が652万円、用賀駅が590万円 と、いずれも圧倒的な高水準を誇ります。

成城学園前駅用賀駅は、持ち家比率・一戸建比率が非常に高い(成城:持ち家60.1%、一戸建40.0%、用賀:持ち家57.0%)、閑静な高級住宅街です。一方、二子玉川駅は駅前の大規模再開発により、「繁華街性」が67.9% と商業ハブとしての機能も併せ持ち、2015年から2020年にかけて人口が15.3%も増加した成長エリアでもあります。

この3エリアに共通する最大の出店チャンスは、「教育」関連です。1世帯あたりの教育費支出は、東京都平均に対し成城学園前駅が181.9%、用賀駅が115.5% と突出しており、教育熱心な高所得ファミリー層が集中していることが明確です。進学塾や個別指導塾、音楽・バレエ・英会話といった専門的な習い事教室幼児教室など、高品質な教育サービスには絶好の市場です。また、富裕層向けの高級スーパーオーガニック食品店ファインダイニング輸入車ディーラー、高単価な美容・医療クリニックペット関連サービスなど、あらゆる「プレミアム業態」が成立するポテンシャルを持っています。

■学生街・若者単身者商圏(明大前駅エリア)

京王線と井の頭線が交差し、明治大学のキャンパスを抱える明大前駅は、世田谷区内で最も「学生街」の特性が色濃いエリアです。立地特性は「ベッドタウン性」が61.4%と高いものの、その中身は他の住宅地と全く異なります。

最大の特徴は、常住人口約4万人のうち、「1人世帯」が65.5%と3分の2近くを占める点です。さらに年齢別人口では「20〜24歳」が13.9%と突出しており、まさに学生と新社会人のための街であることがわかります。その結果、1世帯あたり平均年収は428万円と、今回分析した10エリアの中で最も低く、消費行動はコストパフォーマンスに大きく左右されます。

出店戦略は、この「学生・若者」の胃袋とニーズを掴むことが全てです。安価でボリュームのある飲食店(ラーメン、カレー、定食屋、丼もの)、ファストフードテイクアウト専門店、大人数で利用できる居酒屋は鉄板です。また、学生が勉強や作業に使うカフェ、コピーサービス併設のコンビニエンスストアコインランドリー、安価な美容室なども高い需要が見込めます。

■地域密着・高密度ベッドタウン(経堂駅・世田谷駅エリア)

小田急線の経堂駅と東急世田谷線の世田谷駅周辺は、区の中心部に位置し、地域住民の生活に根ざした成熟したベッドタウンです。両エリアとも「ベッドタウン性」が60%を超えており、地元での消費が中心となります。

経堂駅は、平均世帯年収が497万円 と比較的高く、1人世帯が52.6% と単身者も多いながら、教育費支出が都平均比118.8% と高く、教育熱心なファミリー層も共存するバランスの取れた商圏です。活気ある商店街「経堂農大通り」がその中心となっています。一方、世田谷駅周辺は、持ち家比率が55.2% と高く、40代〜50代の人口が厚い、より落ち着いた雰囲気の住宅地です。

これらのエリアでの出店戦略は、地域住民の「日常」をいかに豊かにするかにかかっています。経堂では、単身者向けの小洒落た飲食店や、教育熱心なファミリー向けの学習塾・習い事、世田谷駅周辺では、地域に長く住む住民が安心して通えるクリニックや、落ち着いた雰囲気のカフェなどが適しています。

■ローカル・シニア共存型商圏(下高井戸駅・千歳烏山駅エリア)

京王線沿線に位置するこの2駅は、活気あるローカル商店街と、高い高齢者比率が特徴の商圏です。両エリアとも「ベッドタウン性」が62.1%と高く、地域住民の生活が中心です。1人世帯比率もそれぞれ57.7%、57.5%と非常に高く、単身者の多さも共通しています。

このグループの最大の特徴は、高齢者層の多さです。特に千歳烏山駅エリアでは、75歳以上の後期高齢者人口比率が16.2%、高齢単身世帯比率も16.5% と、非常に高い水準にあります。下高井戸駅エリアも、75歳以上が14.5%、高齢単身世帯が16.3% と同様の傾向を示しています。

出店戦略は、この「単身者」と「高齢者」の生活支援が最重要テーマとなります。医療・福祉関連の需要は極めて高く、クリニック(内科、整形外科、眼科)、調剤薬局デイサービス訪問看護ステーション、補聴器店などは最有望業態です。また、高齢者が徒歩圏内で買い物を済ませられる小型スーパードラッグストア惣菜店、そして地域住民の「居場所」となるような安価な喫茶店や定食屋も、商店街の活性化に寄与しつつ安定した経営が見込めるでしょう。

■この記事のまとめ

東京都世田谷区は、「上質なベッドタウン」という一つの側面だけでなく、「トレンド発信地」「高所得ファミリー層」「学生街」「シニア市場」といった、驚くほど多様な顔を持つエリアの集合体です。テナント出店の成功は、この複雑な市場の特性をデータに基づいて正確に読み解き、自社の事業コンセプトと「誰の」「どのようなニーズ」に応えるのかを明確にマッチングさせることにかかっています。本稿が、そのための確かな羅針盤となれば幸いです。

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