<メリット> ① 原状回復費用が不要に
賃貸借契約書で、契約終了時の原状回復を「スケルトン状態に戻す」とされている場合、退居時に多額の費用がかかります。造作を譲渡できれば、原状回復費用は原則として不要となり、退居時のコストが大幅に圧縮できます。
② 工事期間が不要に
原状回復の工事には、最低でも2週間~1か月程度を要します。営業を終了し、家賃を払いながら工事をしなければなりませんが、造作譲渡ができれば、明渡しの直前まで営業が可能なケースも多く見られます。
③ 解約予告期間の家賃が不要に
賃貸借契約上で3か月前予告などが定められている場合でも、次のテナント様が見つかった場合には、交渉次第で貸主から前倒しで解約に応じてもらえることがあります。
<デメリット> ① 調整に時間がかかる
本来の賃貸借契約では、テナント様は原状回復をして物件を明け渡す義務があるところ、造作譲渡はそれを不要にして、次のテナント様に入居いただきます。当然、貸主様や管理会社様の承諾が必要ですし、後継テナントとの間でも、譲渡代金や造作物の確認など様々なやり取りが生じます。
② 希望価格では売れない可能性がある
いくら高額な造作物でも経年劣化などがありますし、後継テナント側でもすべてを必要とするわけではありません。また、経年によっては造作物に価格が付かないこともあります。
③ トラブルになることがある
譲渡対象物にリース物品が混ざっていたり、動作不良の機器があったりすると、譲渡後にトラブルになることもあります。
■造作譲渡契約の注意点
① まずは貸主・管理会社へ連絡を
店舗などの事業用賃貸借契約は契約終了時の原状回復を「スケルトン状態に戻す」と規定されている場合が多いので、まずは貸主(あるいは管理会社)に居抜きでの退居について承諾を得る必要があります。
② 購入物品とリース・レンタル品を明確に
レンタルやリースによる物品の所有権はリース会社等にありますので、無断で譲渡はできません。譲渡を希望する場合はリース会社へ事前の確認が必要です。
③ 経年変化の扱いを明確に
新品で購入した備品や機材は保証期間が存在しますが、居抜きで退居する場合は保証期間が過ぎている場合が多いので、動作不良等が発生した場合の連絡先や費用負担についても現テナント・後継テナント双方で合意する必要があります。